俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
カチャン、と音がすると。
魔獣のいる背中の方から、光が射してきて、温かい温度を感じた。
そして、魔獣の足音がフッと突然消える。
足音が、消えた…?
「…あっ」
腕の中にいるなずなが、俺の肩越しに何かを見つけたようで声をあげる。
俺もつられて恐る恐る振り向いた。
(え…?)
これは、予想しなかった。
俺達を散々狙って追いかけ回してきた魔獣が。
水?…スライムのような水の塊に包まれている。
水中のようだが、その中では苦しんでいる様子もなく。
興奮が覚めたのか、魔獣は足を止め、キョロキョロと辺りを見回していた。
…そして、その傍らには。
スーツ姿の細身の長身男性が立っていて。
手には…刀?
取り敢えず、魔獣の猛攻は止まった。
「…か、風祭っ…」
なずながそう呟くと、その男性はこっちを振り向く。
笑いかけるワケでもなく、ツンとしている。
「随分手こずってんじゃねえか」
「遅いわ…」
そう呟いた後、はあぁぁ…と深いため息をついた。
体にズシッと重みが乗っかってくる。
体の力が抜けたらしい。
「悪いな」
彼はポーカーフェイスなのか、表情を崩すことなくクールに一言だけ返していた。