俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…言うわけない?何の根拠があってそんなこと言えるんだよ。…自分に都合悪いことは何も信じないんだな?それも立場を守るため、か?」
「な、何を…」
「…散々自分は楽しんでおいて、都合悪いことはやってません、知りません。…どーなんだか」
「…何ですって!」
なずなが言い放ったセリフに、ますます顔を強ばらせる薫。
しかし、なずなが逆に怯むわけがない。
「…あんた、冬休み中に伶士とペンタグラムに来た時、これコートにくっついてたの覚えてる?」
そう言って、なずながブレザーのポケットから取り出したのは…シャーレ?
科学の実験で使うような、手の平サイズの透明の蓋付き平皿だった。
それを差し出し、見せる。
(え、これ…)
そこに収められていたのは、緑色の…皮?
果物の、アボカドの皮みたいな。
しかし、見覚えがあるもので。
これ、薫のコートにくっついていて、何故か知らないが俺の口に入っていたもの…!
「…これは、あの魔獣の皮膚だ」
「魔獣の…皮膚?」
なずなは頷く。
「…さっき、風祭と鑑識さんと照合して調べたら、間違いなくあの吸血魔獣の皮膚だった」
「そ、それが何…?」