俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
すると、なずなはキッと顔をしかめる。
「…魔獣の皮膚片がこぼれ落ちるなんて、誰かが故意に傷付けないと落ちるなんてあり得ない」
その険しくなった視線は、口をつぐむ薫に向けられている。
「魔獣自身の皮膚も、傷だらけだった。誰かに危害を加えられたかのような。どこかにぶつかって傷付いたようなものじゃない…」
「な、何が言いたいのよ…」
「…まさか、さっきのボンボンみたいに魔獣自身に危害を加えていたんじゃねえのか?…あんたも。そうでなければ皮膚片がコートに付着するなんてあり得ないだろ」
「は…何言ってんのよ!あんなバケモノに危害を加える?!知らない…出来るワケないじゃない!」
「もしくは、それを傍から見ていたか。さっきの女子の時みたいに?」
「し、知らない!知らないわよ!…さっきの伊藤さんだって、私が行ったらすでに…私じゃない!」
「…へぇ?でも、あんたはそれを黙って見てたんだろ?…他の連中と一緒に、助けもせずに」
「そ、それはっ…」
「…あんた、結局自分が一番可愛いだけなんだよ!自分のことしか見えてないんだよ!」