俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
更なる迫力を被せて声を張り上げるなずなに、薫は完全言葉を詰まらせた。
「…もっと、周りをよく見ろよ…」
「………」
なずなの鬼気迫る迫力に、薫はもう絶句している。
「自分が今までしてきたこと…今の自分が置かれている状況、よく見ろよ…自分が何をしたのか、誰を傷付けたのか…」
何も言えない薫の手は、次第にガクガクと震えていた。
放心しかけた表情の顔を恐る恐ると上げて、辺りを見回している。
慌ただしく行き交う警官で、騒然としている玄関前。
傍には、薫を追いかけてきた警官がいて。
そして、俺を見た。
「あ…あ…」
何で…?
何で、こんなことになってしまったんだろう?
次第に歪んでいく薫の顔を目にしては、そればかり考えて。
出所のわからない罪悪感に襲われて。
何故か知らないけど、俺の体も震えて。
さっきから、胸が痛いんだ。
そして、なずなは言い放つ。
やけに冷静な口振りで。
「それが…あんたが犯した罪、言い訳で罪から逃れようとした、罰だよ」
「いや…いや、いやああぁぁーっ!!」