俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
途端に薫は頭を抱えて絶叫し出す。
その悲鳴は、一際大きく、空気が震えているようだ。
「…伶士、伶士!違うの!わた、私、そんなことやってない!…やってない!やってないのおぉっ!」
そう叫びながら、薫は俺の方へと手を伸ばして身を前に乗り出すが。
目の前のなずなと、警官に両腕を掴まれて阻まれている。
「…いやああぁぁーっ!!離して!離して!…伶士ぃぃっ!」
「………」
「…伶士!伶士ぃぃぃっ!ああぁぁっ!」
なずなが「…連れてってくれ」と、警官に伝えると、警官は薫の腕を引っ張ってその場から薫を連れていく。
狂ったように叫び、拘束から逃れようと藻掻きながら連れていかれる薫をただ見守るしかなかった。
苦しくなった胸を掻きむしるように、痛みを掌で押さえながら。
(何で…)
「どうすれば、よかった…んだ…」
苦しくなった胸を無理矢理抉じ開けるように、ポツリと言葉が震えて出てくる。
「伶士…」
目の前にいるなずなの顔を見た途端、急に目頭が熱くなって、視界がボヤけだす。
胸が痛くて、苦しい。