俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

でも、そんな状態にも関わらず。

詰まった胸からは、思いの感情が溢れる。



「俺が、どうすれば…こんなことにならなかったんだろう…」



ただ、漠然と罪悪感に襲われてしまう。

薫の絶叫が耳に焼き付いて、離れない…。



「伶士…」

「…俺が、薫に嫌われようが何思われようが、レディクラに入るのを絶対阻止すればよかったのか…?」

「伶士」

「そうすれば、薫はあんなにおかしくならずに済んだのか…?」

「…違う。それはあの女が選んだことだ。伶士が何しようともこうなることは決まってたんだよ」

「じゃあ…じゃあ、俺が学園辞めなければ、こんなことには…」

「それも違う。伶士のせいじゃない」

「でもっ…!」



もう、出てくる感情が罪悪感と後悔しかないんだ。



俺は、俺はただ。

ただ逃げたかったから、全てをリセットしたかったから、学園を去って。

新しい場所で一人、自分だけ楽な思いして…。



でも、まさかこんな状況になるとも知らずに…!



「…みんなのことを考えると、ただただ申し訳なくて…」



それが『罪』で。

この苦しい胸の痛みが『罰』なんじゃないかって。



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