俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「伶士が何をせずとも、これは起こるべくして起こったことだ。伶士が罪悪感を感じる必要はない」
「…でも、でもっ」
「…伶士のせいじゃない」
わかってる。それは…わかってる。
俺が何をしようが、この結果は事実としてあったことで。
俺が何を思おうが、何も変わらないことぐらい。
でも…じゃあ、何で?
何で、この罪悪感は胸に留まったままで、拭えないんだ…?!
目に溜まって熱くなったものは、溢れて零れ落ちる。
吐き出した感情のように。
「優し過ぎるんだよ、おまえは…」
涙が溢れて俯いていた顔に、右頬にそっと触れられる。
温かい指が。
そこには、覗き込んでくるなずなの顔があって。
なずなの顔を見ると、堪えきれなくなって。
頭に触れるその手がすごく温かくて、有り難くて。
…どんどん涙が溢れてくる。
「…なずなっ…」
その手の温かさに、すがりたくて。
どうもならなくなって、涙で濡れた顔を伏せるかのように、その肩に顔を埋めてしまう。
声を殺して、ただ涙を流し続けた。
「…大丈夫だ。伶士のせいじゃない。大丈夫だ…」