俺のボディガードは陰陽師。～第三幕・不穏な悲鳴～

こんな時に限って、ぴえんだのなんだの、何もイジってこない。

何でなんだよ。

こんな涙を流して、情けなくなってるただだっさい極まりないこの男を。

ただただ、俺のこの感情を黙って受け止めてくれて。



「大丈夫だ…」



…その一言だけで。

何とか保っていられる。



その温かい腕に包まれて、肩を借りて。

ただひたすら声を圧し殺して。

ただひたすら涙を流した。



遠くから、薫の叫び声がかすかに聞こえていても。



「ごめん…」



耳元で、なずながポツリと呟く。



「こんなことになるなら、おまえを連れてくるべきじゃなかった…伶士が傷付くぐらいなら…」



顔を伏せたまま、咄嗟に首を振る。

それは…違う。



「伶士…」

「そんなこと、言わないでくれ…」



今、俺は傷付いて、おまえの肩を借りて泣いてるかもしれないけど。

これは、結果で。

着いてきたことには、後悔していない。




「なずなの役に立ちたかったんだ…」