俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
いつも護られてばかりで、護られるだけじゃ足りなくて。
弱いところもあるなずなが心配で。
なずなの傍にいれば、強くなれる気がしてたから、護りたくて。
役に立ちたくて。
それは、否定したくない。
こんな泣きっ面な結果になった俺が言うのはなんだけど。
「伶士…」
俺の頭を包む腕にキュッと力が入る。
「ありがと…」
抱き寄せられると、一層温度を感じる。
温もりを感じては、やはり俺がここに来たことは間違ってなかったのだと思う。
男としては情けない現状だけども。
涙の後には…想いも溢れてきた。
もう、止まらない。
「なずな…」
「…うん」
「……好きだ」
想いは、溢れ出た。
「………」
辺りは慌ただしくて、騒がしいはずなのに。
一瞬だけ、フッと静かになったような気がする。
俺達の間にも…その沈黙は訪れた。
(………)
今、俺…。
…言った。
言ったよな…?
勢いでやって、事の大きさに気付くと。
だんだん我に返って、冷静になってくる。
俺、何泣いてんの…?
…ではない。
俺…言ってしまった。