俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
俺達があの大ホールに踏み込んだ時点で。
一年VIPは全員揃っていたんだ。
東京に向かっていて、居ないはずの南平が、いた。
(…じゃあ!)
なずなの後を追って、俺も駆け出す。
向かっているのは、VIP達が待機している輪の方。
…じゃあ、その南平。
誰なんだ?!
突如として、降りかかってきた疑問に、胸の鼓動がうるさく響く。
俺より先にVIP達のもとへ辿り着いたなずな。
「…どけ!離れろ!」と、周りに呼び掛けながら、人の波を掻き分け、その輪の方へと向かう。
なずなの急行があまりにも速すぎて追い付けない…!
「…全員こいつから離れろ!…おまえは一体誰だ!」
「うわっ!」
「きゃっ!」
血相変えて乱入してきたなずなに驚いたのか、みんな悲鳴をあげながら言うとおりにその場をサーッと離れる。
手をブンブンと振り上げて、力ずくで自分の背に全員を誘導させ、偽物であろう南平の前に立ちはだかった。
「…なずな?どうした!」
警察の風祭さんも、こっちの異変に気付き、なずなのもとへとやってくる。