俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…え?え?何?何?」
突然敵視され驚いたのか、南平はきょとんとした表情で辺りをキョロキョロと見回していた。
しかし、確信しているのか、なずなは南平を睨み付けて言い放つ。
「…すっとぼけても無駄だ!その姿がニセモノだってことはわかってる!……誰だおまえは!」
「は?は?…何?何?」
更に詰め寄られた南平は、挙動不審になっているが。
「…魔物の匂いがする」
こっちにやってきた風祭さんが、俺の横でボソッと呟く。
それを耳に入れたのか…ニセモノ南平は、急にコロッと真顔になった。
『…へぇ?』
それは、一瞬だった。
南平の体から、ゴオォッ!と突風が吹き荒れる。
「な、何?!」
「きゃあっ!」
それは周りを巻き込んでいて、あちこちから悲鳴があがっていた。
顔を伏せてしまい、視界が奪われそうになるが…伏せた腕の隙間から、俺は見てしまった。
強い風に乗せられて舞う、小さな黒い羽根。
南平の背中からメキメキとぶち破るように姿を現す、二つの黒い翼。
黒い翼は、主の体を隠すように包み込む。
そして、再度姿を現した時にはもう、南平の姿ではなかった。