俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「あっ…!」
その姿を目にして、思わず声をあげる。
『ふぅ…見つかっちゃった?あと少しだったのになぁ…?警察本部に侵入して情報頂こうと思ったのに…』
この人は…!
まさか、ここで…!
強風が止んで落ち着き、その姿がはっきりと現れた。
目にしたVIPやレディクラの連中も驚いて次々に口にする。
「え…飼育員さん?」
「な、何で?…どこから?」
飼育員…猪狩の言っていた飼育員って、この人のことだったのか?!
と、いうことは…こいつらは、この人と接点があったのか!
『さすが音宮のお嬢さんに、警察の剣咒士・風祭くん…お見事』
漆黒の細く短い髪が靡いていて、そこから覗く生気の通っていない冷たい目を細めて笑う。
筋肉質な南平の体とは違って、線の細い体から生える、二つの黒い翼。
…衝撃だったから、忘れもしないその姿。
「…まさか、おまえが絡んでいたとは」
風祭さんが声を低くしてボソッと呟いた。
だが、彼の正面きって目の前にいるなずなは、表情を険しくさせ、激しく睨み付けて声を張る。
「…おまえの仕業か!…リグ・ヴェーダ!」