俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
怒りを顕にするなずなの様子を、面白がるようにクスッと笑って見ている。
「何を怒ってるの、音宮のお嬢さん?…もしかして『魔獣かわいそー!』とか思ってる?…そうだよね?ろくにエサも与えられず人間にボカスカイジメられて、無理矢理人間襲わされて…」
そう言って、VIPレディクラたちの方をもクスクスと笑って見る。
翼の生えた不気味な男に視線を向けられた方も、ビクッとして後退りしていた。
そして、もう一度「あははっ」と笑う。
「…でもね?所詮、ただの獣じゃん」
「ふざけるなあぁぁっ!」
今の一言で、怒り爆発となったのか。
なずなは叫ぶと同時に、急激にオーラが纏った拳を振り上げ、彼に飛び掛かる。
「…なずなっ!」
ザワッと風が吹き上げるが、彼は拳をヒラリと回避して。
その背の翼をはためかせながら、背後にある木の枝の上に飛び乗って着地した。
「あははっ。短気だねー?」
枝の上でも、彼は静かに笑い続ける。
「…なずなっ、何してる!冷静になれ!」
「ふぬぬぬ…!」