俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
風祭さんに諌められ、なずなは悔しがりながらも枝の上の彼をギッと睨み付けるが。
その様子さえも面白いのか、彼はずっと笑っている。
和やかそうな笑み…というには、とても不気味だ。
「あははっ。…さて」
その不気味な彼は、目を細める。
木の上から送る視線の先は…ここから少し離れたところ。
檻に入れられ、これから搬送される。
魔獣の方だ。
「…僕のあれ、返してもらうよ?」
その、視線の先を指差す。
「魔獣を?…どうする気だ?」
「どうするも何もお嬢さん。元々あれは僕のなんだから。僕がどうこうしようと勝手でしょ?」
「なっ…おまえが勝手に魔界から拐ってきただけで、おまえのものじゃないだろう!」
ムキになるなずなに、またしても「あははっ」と笑い返す彼。
その仕草が一層の怒りを煽るのか、なずなの顔は険しく顔中ビキビキさせていた。
「あの魔獣は…渡さない!」
「…それより?僕の言い付けを守れなかったお金持ちの子供たち?」