俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
そんな怒りのなずなを置いといて。
彼が次に視線を向けるのは、VIPやレディクラの面々たち。
御乱心してしまった高橋と薫はいないが、残った話を振られた連中は、ザワツキ始めた。
内の一人が、彼に対してムキになる。
「は…何よ!こんな…条例違反だなんて聞いてないわよ!何なのよ!おかげで私達…」
「…だから?くれぐれも大人達にはバレないように?…って、約束したんじゃん?」
「な…!」
それ以上反論出来なかったのは…彼の眼力の圧を感じて怯んでしまったのだろう。
そして、黒い翼の彼は、その場…木の枝の上で腰を上げて立ち上がる。
「…約束破った子には、お仕置きしようか?」
そう彼が口にすると、同時に。
「え…」
頭上からフワフワと舞い落ちる。
細かくて小さな、黒い羽根が…。
「…全員、頭を伏せろ!……放たれる風、さながら白刃のごとく!」
注意を呼び掛けて、そう叫んだなずなは、落ちてくる黒い羽根に向かって右手を下から斜め上に振り上げる。
大きく風が起こって、舞っていた羽根を巻き込み、風は向こうの方角へ離れていった。