俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
そして、不気味な笑みを一層のものにする。
「…《マントラ》は復活する。そして、この地に、再度『事変』をもたらす…」
…マントラ?事変?
何が何だかわからない言葉だらけで、話に着いていけないが。
なずなや風祭さん、綾小路室長が顔色を変えて強ばらせている様子から、わかる。
それは、とても大変なことなんだという。
彼はニヤリと笑うと、空気が凍てつく。
すると、人の声や悲鳴、桁たましい物音で向こうの方が騒がしくなっている。
魔獣のいる方向だ。
「…わぁっ!な、何だコイツは!」
「や、やめっ!」
その光景を目にして、息をのんでしまう。
魔獣の檻の周りにいる人間の集団の中に、一人。
二回りほど、筋肉ムキムキの体がデカいヤツがいた。
先程の赤鬼ゴリラのように、スキンヘッドで、頭からは角が二本生えている。
ヤツの肌は青い。…青鬼?
青鬼ゴリラ?
…明らかに人間の見てくれではない!
「あははっ。…紺青鬼!周りを蹴散らして、そいつを回収しろ!」
彼が木の上から、そう呼び掛けると。
青鬼ゴリラは動き出す。