俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「あっちは悠介に任せておいて何とか……って、なずなっ!」
「拓狼さん、そっちは任せた!」
「こ、こらっ!」
綾小路室長の意に反して、木の上の彼に喰ってかかろうとするのは、なずな。
駆け出し、近くまで行き、木の下から吠える。
「おまえこのっ!…ここで会ったが百年目だ!…逃がさない!」
すると、またしても「あははっ」と笑われる。
「つい数ヶ月前に再会したばかりでしょ?…お父さんの具合どう?」
「…おまえぇぇっ!」
「僕を構っていていいの?…護るべきもの、護らなくていいの?」
すっと差し出した指先は、再びVIPレディクラたちの方だ。
そして、指をパチンと鳴らす。
すると、どこからかいつの間にか出現していた。
「…う、うわぁっ!」
「な、何あれ…!」
みんなの頭上に出現したバケモノに、どよめきや悲鳴が次々とあがる。
それも無理はない。
カラスぐらいの大きさをした、黒い…コウモリ?のような生き物が、空から出現。
『グルルル…』と、なぜか犬のうなり声のようなものをあげて、硬そうな翼をバッサバッサとはためかせている。