俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
やった…!
思惑通りの形成逆転に嬉しくなっていると、綾小路室長が背中をトンと叩いてくる。
「君はなんて機転が利く子なんでしょう。なずなより全然使えますね?」
「あ…はい!」
褒められた。
コウモリが全員いなくなったワケではなく、あちらこちらに少数飛んでいるが。
俺達が狭い範囲で身を寄せあっていれば、綾小路室長も対応しやすいだろう。
と、思っていたが。
「…うわぁっ!」
悲鳴が聞こえたので、振り返って目をやると。
少し離れたところで、ここには辿り着けずに一人コウモリに襲われていたのが、猪狩だった。
すっ転んでしまったのか、尻をついた状態で悲鳴をあげて頭を伏せている。
「…猪狩!」
それを見ていたのか、輪の中から凌憲が飛び出す。
そこらに落ちていた木の枝を拾い上げて、猪狩のもとへと急行していた。
凌憲?…何をしてる!
猪狩のもとへ駆け付けた凌憲は、拾った小枝をコウモリに対して振り回している。
「…あっち行け!…猪狩、みんなのところに行くぞ!立てるか?!」
「あ、芦屋っ…何で!俺達、おまえや生徒会を…」
「…罪と命は別だ!」