俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
凌憲が猪狩を背に庇って、コウモリを追い払っている。
助けに行ったのか!
…でも、相手は地球外生命体、ワケのわからない攻撃的なコウモリ。
何の力も持たない俺達が対応するのは、危険過ぎる…!
「…凌憲!」
俺もたまらずその場を飛び出す。
凌憲と猪狩の元へと走って向かう。
「…あ、橘くん!」
猪狩は腰が抜けたのか、立てないでいるようだ。
二人がかりで、さっさとこっちに連れてきてしまえば!
「凌憲!猪狩!」
「…伶士?!」
あと一歩で二人のもとに辿り着けそう、と思ったその時。
(…ん?)
真上からハラハラと何かが落ちてくるのに気が付いた。
まるで、雪のように。
しかし、それは白いものではなく。
黒…。
いくつもいくつも落ちてくる、そのひとつが目の前に落ちてきて、その正体がわかる。
黒い羽根…?
『…やっと、捕まえたよ』
耳元に息がかかる。
その生ぬるい温度とは真逆に、冷たい声に背筋が無意識に凍らされた。
この声は、黒い翼の彼…?