俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
俺が何だか…?
って何。
そんなことよりも、この拘束を逃れるために、さっきから体をジタバタさせている。
…のだが、四肢に巻き付かれたこの黒い羽根の帯はそれを許さず、彼の腕から逃れることすら出来ない。
どんな仕組みなんだ?この羽根!
一方、銃口を黒い翼の彼に向けたまま綾小路室長は、強めの説得を続けているようだ。
「…そんなこと、今は問題じゃないですよ?」
「またまた」
「一般市民を救うのが警察の役目ですからね?……な、なずなっ?!」
綾小路室長の驚愕の声と共に、俺を抱える彼の体が、ガクンと前に揺れる。
何かぶつかって…?!
見上げると、彼の背後に…いた。
「おまえ…何やってくれちゃってんだよ…」
彼の背後から、なずなだ。
彼の大きい翼を掻き分け、背後から左腕を彼の首に回していて。
もう一方の右腕の肘の裏を掴んでいる。
裸絞の体勢?!
両足で彼の体幹をがっちりホールドしていた。
「…いつの間に」
首を取られているにも関わらず、彼は焦る様子が全くないが。
なずなは、違う。
「渡さない…」
「…へぇ?」
「伶士は…渡さないっ!!」