俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
捕らえていた俺がいなくなった掌をじっと見ている、余裕ありげな彼とは違って。
なずなは再び、アドレナリン大放出中ともいえる興奮ぶりだ。
また、目が血走っているといっても間違いない。
「絶対…逃がさない…」
そんななずなは、彼を捕らえている両腕にグッと力を入れる。
「…おまえが死ねば、何もかもが終わりだリグ・ヴェーダ」
「そうだね?…親の仇である僕が死ねば、恨み辛み人生終わるからね?…出来るかな?」
「このっ!…おまえぇぇっ!」
なずなの叫びと共に、辺りにズンと圧がかかったような気がする。
それは、重苦しく。
何か…嫌な感じだ。
しかし、なぜこの彼は、首を取られているにも関わらず余裕綽々なのか。
それとも…ただ、バカにして楽しんでいるのか。
どっちにしろ、これも良い気分にはならない。
不快な気分を噛み締めて、警戒しながら様子を伺っていると、状況の変化に気付く。
なずなを取り巻くように、もやもやとオーラが出現した。
しかし、それも違和感で…。
(黒い…?)
いつもとは、様子が違う。