俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
そして、彼を締める手に更に力を入れる。
凄く力が入っているのか、仰け反って吠えていた。
それに反応するかのように、黒い炎のようなオーラも吹き上がる。
彼の体全体を取り込むくらい、拡がっていった。
(何を…)
何を…するんだ?
メラメラと靡く炎のようなオーラを目にしては、嫌な予感と鼓動が速くなっていく。
何で、胸騒ぎがするんだろう。
「…漆黒の火炎、金赤の闇…」
なずながそう呟くと、黒い炎のオーラは更に吹き上がって、生きたような動きで彼の体全体を包み込み始めた。
チリチリと音が鳴って、焦げ臭い匂いもする。
ふと見上げると…彼の黒い翼が端からチリチリと燃えて…。
…って、まさか、あれは本当に炎なのか?
本当に、黒い炎…?
「まさか、そんな奥義を……ちっ!」
自分の翼が燃えている状況に気付いたのか。
黒い翼の彼は、自分の体を揺すり、背中のなずなの振り落とそうとしている。
しかし、足でがっちり体幹ホールドされているがゆえに、ただではなずなも離れない。
彼が笑うのをやめた。初めて真顔を見たような気がする。