俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

燃え上がる黒い炎と、それに包まれている二人を目にして胸騒ぎが止まらない。

…この炎、初めて見たのに。

何でかは知らないけど…感じてしまった。




…この黒い炎は、『危険』だ。




「…なずな、やめろ!」



考えるより先に、声が出てしまう。

何もわかっていないのに、なぜか『制止しなくては』と、思ってしまった。



「…なずなっ!やめろ!…それはやめろ!」

「れ、伶士!危ないっ!」



思わず立ち上がってしまい、身を乗り出したところで、凌憲に後ろから引っ張られて制止されてしまった。



なずな、その炎は『危険』だ。



何で、そう思うんだろう。

意識の奥底で。

まるで…理解していたかのように。



「…なずなっ!」




そして、うねって黒い炎が火柱のように噴き上げる。

二人の姿が黒い炎に包まれて見えなくなってしまった。

そんな中でも…なずなの声は聞こえる。





「黄金の地獄…『黒炎の華』」




…ダメだ。

ダメだ、それは!






「…ダメですよそれは。なずなサン」




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