俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
…誰だ?!
新たな人の気配がして、その方向に顔を向けるが。
同時にその方向から、大量の炎が吹き荒れる。
炎…金色?
突風のように靡いて吹き荒れる黄金の炎はゴオッ!と黒い炎を吹き飛ばす。
見えなくなっていた二人の姿を顕にした。
炎が炎を吹き飛ばした…!
「…なずなサン。それは神童であるお父様の技ですよ。地獄の炎は、未熟なアナタが使える技じゃまだありません」
声の主は、傍まで近付いてきて、彼の背中にしがみついたままのなずなにそう告げる。
落ち着いていて、低い声。
「…邪魔するな玲於奈!」
「イイエ。たくさん邪魔します。大事ななずなサンが丸焦げになって死ぬのを見るのはイヤです。それに『死ぬな』は我々の合言葉デスヨ」
もさ男だ。
…いいや、黒川玲於奈。
なずなんとこの従業員。
背がひょろっと高い、ボサボサ頭のもさ男。
いつものように、もさーっと登場した。
いつもと違うのは…手に、炎。
右手に黄金の炎をメラメラと纏ったままでいる。
熱くないんだろうか。