俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~


…誰だ?!



新たな人の気配がして、その方向に顔を向けるが。

同時にその方向から、大量の炎が吹き荒れる。

炎…金色?

突風のように靡いて吹き荒れる黄金の炎はゴオッ!と黒い炎を吹き飛ばす。

見えなくなっていた二人の姿を顕にした。



炎が炎を吹き飛ばした…!



「…なずなサン。それは神童であるお父様の技ですよ。地獄の炎は、未熟なアナタが使える技じゃまだありません」



声の主は、傍まで近付いてきて、彼の背中にしがみついたままのなずなにそう告げる。

落ち着いていて、低い声。



「…邪魔するな玲於奈!」

「イイエ。たくさん邪魔します。大事ななずなサンが丸焦げになって死ぬのを見るのはイヤです。それに『死ぬな』は我々の合言葉デスヨ」



もさ男だ。

…いいや、黒川玲於奈。

なずなんとこの従業員。



背がひょろっと高い、ボサボサ頭のもさ男。

いつものように、もさーっと登場した。



いつもと違うのは…手に、炎。

右手に黄金の炎をメラメラと纏ったままでいる。

熱くないんだろうか。


< 304 / 492 >

この作品をシェア

pagetop