俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…ふんっ」
口を尖らせ、面白くない表情を見せて、なずなは黒い翼の彼の背中から俊敏に離れる。
警戒は解かずに、背後から構えていた。
ようやく止めて離れてくれたと思ったら…何故だかホッとした。
あの黒い炎は、危険。
何で、俺はそう思ったのか…。
「…れ、玲於奈!来てくれたのっ!」
向こうから嬉しそうな声を発するのは、綾小路室長だ。
もさ男はペコリと頭を下げている。
「たくろークンこんちは。あっちの方は終わったんで」
「終わった?」
「けんじろークンは、意識を取り戻しました」
「えっ?…田丸くんが?!」
「エエ。けんじろークンは頑張りました。ボクも頑張りましたけどネ」
田丸さんが…意識を取り戻した?!
「た、田丸さん?!ほ、本当ですか…?!」
そのセリフにいち早く反応したのは、同じ生徒会の凌憲だ。
恐る恐る問うと、もさ男は「ハイ」と返答している。
「もう大丈夫デスヨ。あとはボスと弓削センセーに任せてきました」
返答を耳にして、凌憲は目を見開かせる。
崩れた顔を見せた後、顔を伏せていた。
「田丸さん、よかったぁぁ…」
その姿を目にして、俺もホッとさせられる。
命がひとつ、救われて。