俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
しかし、そんな中。
命が助かった彼はまた「あははっ」と笑った。
通常運転の不気味な笑みに戻ったらしい。
「でも、今のはヤバかった。…助けてくれてありがとう?神童さん?」
もさ男・玲於奈は頭をポリポリと掻いている。
「なずなサンをみすみす死なせるワケにはいきません。…それに、助けたワケじゃないデスヨ」
もさ男の右手に絡められた、黄金の炎が背の高さ以上に大きく立ち上って、揺らめいている。
「…君は、ボクが相手するんデスヨ?」
「へぇ…?」
「お仲間さんも、もうギブアップだと思いマス」
そう言って、もさ男は向こうを指差す。
そこは、魔獣の檻の前でドンパチやっている、風祭さんと青鬼ゴリラの方だ。
ふと見ると、また…あの光景をちょうど目にする。
「うおぉぉぉっ…」
刀を持つ風祭さんの前に、掌と膝をついて顔を下に向けている青鬼ゴリラだが。
口の中からは、ドバドバと大量に黒いものを次々と嘔吐している。
あれは、恐らく…黒い羽根だ。
体内に取り入れた彼の黒い羽根を、大量に吐いている…。