俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「へぇ。これが黒い翼を嘔吐する魔族か。…魔力の匂いのクセが凄い」
そして、こっちにいる黒い翼の彼をチラッと見て呟いた。
「…趣味悪」
だが、嘔吐で身動き出来ない青鬼ゴリラに向き直して刀を構える。
右手一本で持つ刀の先を、天に翳した。
「…緋色の飛沫、二藍の舞…」
その剣先に、何処からかともなく現れた鮮紅色に染められた液体が、飛沫をあげて渦巻く。
それはまるで、血液のよう。
「…剣咒『妖星乱舞』」
踏み込んで、空を切り裂くようにその剣体をブンッ!と振り下ろす。
鮮紅の液体は風圧でひとつの刃となり、這いつくばる青鬼ゴリラを襲う。
「あ…ああぁぁっ!」
回避する間もないスピードで、刃は青鬼ゴリラの体を真っ二つに切り裂く。
刃は炸裂と同時に弾けており…血飛沫が踊るかのようだった。
「…ん?」
しかし、風祭さんは目の前の展開を見て、眉間にシワを寄せる。
いや、彼だけではない。
その光景を見ている誰もが驚く状況だ。
体を真っ二つに切り裂かれたと思ったら。
バシッ!と震えるほどの大きい音を立てて、その姿は一気に消え去り。
大量の黒い羽根へと姿を変え、ヒラヒラと舞っていた。