俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「退魔調伏しても、いつも体が黒い翼に変わって逃げられるんで、困っていたんですヨ。風祭くん、グッジョブです」
何が何だか、よくわからないが。
「これはこれは油断してたら、またやられちゃうね?」
「…そんな余裕かましてるのも、ホント今のうちですヨ?」
「…何っ?」
会話の途中で、彼は突然背後を振り向く。
しかし、時すでに遅く。
背後から突然飛び出した、黄金色に煌めく無数の細い糸に襲われる。
彼が身動きひとつ取る間もなく、あっという間にその体を拘束した。
「陰陽五行、『戒糸』!」
彼の背後には、なずなだ。
少し離れたところから、黄金色を放つ糸を両手の指に絡ませ、彼の体を締め上げている。
これは、いつか見た…ワイヤーロック陰陽師版だ!
「…へぇ?」
「お喋りなんかしてる暇ないったろ!」
背後からこっそり忍び寄って、術をかけていたのか?!
「…こざかしいね」
しかし、彼の黒い翼が、ゆっくりと動き出す。
まるで、糸の拘束に抗うかのように。
サイズが大きいもんだからそれは容易で、翼が動く度に、なずなの体が多少引っ張られていた。