俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

「…ちっ!…玲於奈、早く!時間稼いでやってんだよ!…早く、ガーディアン呼べ!…わわっ!」

「なずなサン、ありがとうございマス。かたじけない」

「…早くーっ!」



引っ張られる体を腰を入れて堪えて、糸を引っ張り返す。

しかし、向こうも逃れようと翼が激しく動かし続けている。



それに、ガーディアンを呼べとは。

なずなが彼の足止めをしてるということか?




…だが、とうとうここで、俺は。

神の力を代る者、『神童』の力を目にすることになるのだった。




少し風が起こり、もさ男のもさもさな髪がフワッと揺れる。

いつも前髪で隠れている目が、少しだけ見えたような気がした。



暫しの静寂を感じさせた後、右手の拳を前に突き出す。




「沙那ちゃん、行きますよ?…『開印』…」




そう呟いて、握った拳からフワッと黄金の光が漏れ始めた。

そして、黄金のオーラの帯となり、もさ男の拳を包むように規則的に動いている。




「…紺碧の空・白鳳の炎・黄金の翼…司取りし神の加護を受けし、神童・黒川玲於奈の名において命ずる…」



< 310 / 492 >

この作品をシェア

pagetop