俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…ちっ!…玲於奈、早く!時間稼いでやってんだよ!…早く、ガーディアン呼べ!…わわっ!」
「なずなサン、ありがとうございマス。かたじけない」
「…早くーっ!」
引っ張られる体を腰を入れて堪えて、糸を引っ張り返す。
しかし、向こうも逃れようと翼が激しく動かし続けている。
それに、ガーディアンを呼べとは。
なずなが彼の足止めをしてるということか?
…だが、とうとうここで、俺は。
神の力を代る者、『神童』の力を目にすることになるのだった。
少し風が起こり、もさ男のもさもさな髪がフワッと揺れる。
いつも前髪で隠れている目が、少しだけ見えたような気がした。
暫しの静寂を感じさせた後、右手の拳を前に突き出す。
「沙那ちゃん、行きますよ?…『開印』…」
そう呟いて、握った拳からフワッと黄金の光が漏れ始めた。
そして、黄金のオーラの帯となり、もさ男の拳を包むように規則的に動いている。
「…紺碧の空・白鳳の炎・黄金の翼…司取りし神の加護を受けし、神童・黒川玲於奈の名において命ずる…」