俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
声に反応して、美しい翼を拡げたその姿は、しなやかな体の鶴のようで。
しかし、玲於奈が纏っていたのと同じ黄金の炎を全身からどんどん発している。
そして、玲於奈の指差す方向…黒い翼の彼に嘴と体を向けて。
玲於奈が合図をすると、炎そのものとなった体はそのまま、そこで攻防を繰り広げていた二人の間に、轟音と共に猛スピードで突っ込んでいった。
「うぉっ!…いつもいきなりか!迦楼羅沙那王!」
炎の鳥の接近に、なずなはいち早く気付き、直ぐ様術を解いた後、間一髪そこらに飛び込んで逃れる。
ギリギリまで拘束をされていた彼は逃げ切ることが出来ず、黄金の鳥と炎の中に身を残していた。
空気が震えるほどの衝撃音と、黄金の炎に包まれて姿が見えなくなる。
風が起こって、顔を腕の中に伏せてしまった。
どうなったんだ…?
そう思いながら、恐る恐ると顔を上げる。
煙が立ち込める中、視界はようやく切り開けていて…。
「モロにくらってたら…危なかったね?」
暗がりの中、彼の姿が…ある。
多少ボロボロになっているも、不気味な笑みは崩さずにいたが。
黒い翼…右側の半分、焼け焦げていた。