俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~


そして、後部座席に寝かされるなずなを見守りながら。



「じゃあ玲於奈、後で」

「ハイ。本部向かう時連絡しマス」



後部座席を閉められ、姿が見えなくなると、「あっ…」と名残惜しい気分になったけど。

ただ、黙って。

車の発進を綾小路室長と見送るカタチとなった。



とうとう、最後まで起きなかったな。

話…出来なかった。



仕方ないけど。



そんなことを思いながら、その場に立ち尽くしてしまう。



「…じゃあ、橘くんも帰りますか?」

「…え、あ、はい」

「僕が家まで送るよ?」





…だが、家まで送ってもらうと忠晴に嘘がバレるので。

最寄りの地下鉄駅まで送ってもらうことにした。

午後6時を過ぎた頃から、『今どこにいますか?』とのLINEが連発されている…現在7時過ぎですが。

直ぐに『もうちょい。地下鉄に乗る時連絡する』と嘘のLINEを入れてしまった。

執事に嘘をつくお坊っちゃま。



言われた通りに、お借りした制服は脱いで丁重にお返しした後。

どなたか警察関係者が乗ってきた普通のセダンを綾小路室長は持ってきた。



こうして、俺も学園を後にすることとなった。



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