俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「本日はお疲れさまでした」
「は、はい。お疲れさまでした」
助手席に乗り込むと、労いの言葉を掛けられ。
シートベルトを着けると、車は発進する。
遠くなる学園を、複雑な思いで横目で見ていた。
「いやー。今日は橘くんに来てもらって、ホント良かった」
「…ホントですか」
「うんホント。橘くんの情報で、事件の全容が掴めたようなものだし、モグリも割りとスムーズに行ったし。それになんたって…」
そう言い掛けて、綾小路室長はふふっと笑う。
「…実は、なずなを一人で送り込むのは一抹の不安があったんだよねー?ほらあいつ、たまーにアツくなって暴走しちゃうから?」
「はぁ…」
確かに。
「ついつい弱い者に感情移入しちゃって、護りたくなっちゃうんだよ。お父さんと一緒。優しいってことなんだけど…たまに命取りになっちゃうから。だから、橘くんが暴走止めて、傍にいてくれてくれてよかった」
「俺が…ですか」
「そ。君がいたから」
俺がいてよかった…のか?