俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「それが、マントラ…ですか」
「…二年前の『事変』の話は聞いたことあるかな?」
「………」
それは、確か…。
『…伶士くんさ、二年ぐらい前に、ここ札幌を巡って陰陽師さんらや人間と悪い妖怪が死闘を繰り広げていたって、話…信じる?』
『悪い妖怪たちが、この札幌を占拠しようと一般市民に手を出してきたんだ。それを護るために、菩提さんやなずちゃんら陰陽師、あと《神の力》を持つ術者たちが、その悪い妖怪たちと戦ったんだって』
「…はい、少しだけですが」
「…その『事変』を起こし、この札幌を拠点として、日本、それから世界の制圧を目論んだのが、そのマントラだった」
「制圧…世界を?」
「ああ。この世の一般市民にとっては、魔力とは抗えないモノ。それを逆手に支配を目論んだ。…まあ、厄介な連中でしたよ?半人半魔は。人間だけど、魔族。セオリーが効かない」
人間だけど、魔族…イメージがつかない。
でも…今までお目にかかった魔族とは違って、黒い翼の彼は、背中の翼以外はまさに人間そのもの。
そう考えると、なるほど…と、思う。