俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「その通り道を絶対開放してはならない。人間をエサにする魔族が続々とこの世界にやってくるからね。しかし、マントラは総勢8人。各地に神童が散らばれば、そのぶん戦力は分散される。…そんな中で、なずなは父の仇であるリグ・ヴェーダを追いかけた」
父の仇である彼を追いかけ、開かれる寸前の魔界の通り道の前に。
なずなと黒い翼の彼は、一戦を交える。
「…従者パワーを使うなずなとリグ・ヴェーダの一戦は、なずなの方が少し有利だったらしい。…でも、狡猾で賢かったのは、リグ・ヴェーダ」
そして、黒い翼の彼は。
戦いが不利で敗北を悟った時。
思わぬ行動に出た。
「…リグ・ヴェーダは隙を見て、本来開いて開放するはずだった、その魔界の通り道『紫の門』に、逆に逃げ込んだ」
「…逃げ込んだ?」
「そして、目の前のなずなや我々の攻撃から逃れるために、目的とは逆に、その『紫の門』を自ら閉じてしまったんだ」
えーと、つまり…。
本来は、開放して魔界から魔族をじゃんじゃん呼び寄せるための通り道を。
自らがそこに入り、逆に通り道を閉鎖してしまった。
「…魔界に逃げたってこと、ですか?」
「君はやっぱり頭が良いね?」