俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
開放するべきモノを、自分が逃げるために、敢えて閉じた。
自分が助かるために、仲間との目的を放棄したってこと…。
「あの時の話は聞いただけでもゾッとするよ。仲間が一人、なずなの元へと駆け付けなければ、なずなは彼を追って魔界へ行き、帰って来られなくなっていたんだ。取り逃がして良かったといえば、良かった。だって、向こうもこっちの世界に戻って来られないワケでしょ?」
「そうですか…」
「でも、それはそれでいろいろ問題が生じてね?…それから、なずなは自責の念にかられている。親の仇を取り逃がしたことを。…それからだよね?だいぶ無茶して暴走するようになったのは」
「………」
…もっと、聞きたいことがたくさんあったのに。
その話を聞いただけで、胸がいっぱいで、何も言えなくなってしまった。
父親が黒い翼の彼にやられた上に。
その仇を取り逃がした。
なずなは、それからどんな思いを抱えていたのか。
ものすごく辛くて辛くて、自分を責めていたのではないのか。
そんな中で、俺のボディガードなんてやって。
俺の心の闇を晴らしてくれたのに…。
なずなの心の闇は、晴れないまま…。