俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
…だから、今ここで、もっともっと話を聞きたかったのに。
スマホの着信バイブが鳴る。
LINE通知だ。
《まだですか!何を遊び呆けているのですか!》
忠晴、限界だ…。
俺のスマホを覗き込んで「あちゃー」と、綾小路室長は苦笑いする。
「そろそろ帰った方が良いね…橘の大切なお坊っちゃまだもの」
「もっと聞きたいことたくさんあったんですが…」
「名刺にケー番書いてあるから、いつでも電話して?…あと」
そう言い掛けて、綾小路室長はふふっと笑う。
爽やかなんだけど…何か、含み笑い。
「…大丈夫。君はいずれ、全容を知ることが出来ると思う」
その言葉を最後に、綾小路室長とは別れた。
…俺がいずれ、話の全容を知る?
何故、そんな事を言い切れるのか?
言葉の意味を知ることになるのは、もう少し先のこととなる。
…しかし、俺はそんな過去の話より、知るべきことがあるのを、この時点では気付いていなかった。
自分が『何者』であるか。
と、いうことを。
まあ…。
…そのうち、電話しよ。