俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
その魔獣は危ない。
みんなにも危険が及ぶから、今すぐ手放してくれ。
そいつを元の世界に返してやってくれ。
それを使って先生や生徒をイジメるのもやめてくれ。
しかし、当時のVIPレディクラの反応は、兄貴の訴えを一向に聞かなかった。
『…はぁー?何言ってんのぉー?異世界のバケモノぉ?…確かに見たことないけど』
『危険?あはははっ!…図体だけで弱そうな感じだろ?何言ってるんだかコイツ!』
『ひょっとして、動物愛護団体入ってんのー?だっさ!頭可笑しくなったんじゃね?』
『頼智、コイツ買うのに俺達がいくら払ったと思ってんだよ?…金も払ってないヤツがガタガタ口出しすんな!』
沙羅先輩が『ちょっと言い過ぎよ。私もイジメは良くないと思うわ』と仲裁に入るが、奴らは沙羅先輩の言うことでさえ、無視した。
そして、頭を下げる兄貴に。
『…っつーか、頼智。おまえが頭下げてるなんて、レアだよな。写真撮ってバラまいてやるか』
と、その一言で。
同伴していた友達が、キレたらしい。
そう言い捨てた高橋の兄貴を、威力のあるストレートでブッ飛ばしてしまった。