俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
麗華さんは…お兄さんに、数々の悪行を止めるように、VIPなんて解散するように。
何度も掛け合ったそうだ。
しかし、VIPは止めることはなく。
麗華さんは、愛想をつかして、この学園を去った。
「…気付かなかった」
兄貴は、悲しそうな声でボソッと呟く。
「麗華が…苦しんでたなんて、気付かなかった。なのに、俺はそんなことも知らず…VIPに入れば、麗華が認めてくれると思って…」
こんなに、何かを悔やんでいる兄貴は、初めてだ。
いつも楽観的で「まあいいや」「どうにかなるさ」の人だから。
麗華さんも苦しんでいたのだろうけど。
「『選ばれた人間』?…勘違いも甚だしい連中だよ。VIPなんて」
それを知って、兄貴も本当は苦しんでいたんだ…。
兄貴のそんな顔、見てると…また、胸が痛い。