俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…『選ばれた人間』と勘違いしているのは、自分らだけじゃない。周りもそう…『選ばれた人間』にあやかりたくて、みんな下心丸出しで寄ってくるんだよ…」
その笑みで、俺の方をチラッと見る。
体をビクッとさせてしまった。
「…伶士のあの彼女も、そうだよ?」
「あの彼女って…薫?」
兄貴は、ゆっくりと頷く。
「彼女はレディクラに入りたくて、伶士に近付いたんだ。…俺の弟だから、高等部に上がったらVIP入り間違いないでしょ?」
「………」
「…でも、あのパーティーの日。彼女は俺に近付いてきて、こう言ったんだ」
伶士、私にレディクラに入るのを止めろって言うんですよ?
その上、自分はVIPなんかには入らないって。
私のこともわかってないし、学園のこともわかってない。
あーあ。最近マンネリでケンカばかり。
嫌だなぁ。伶士、意外と神経質だし。
もう、別れ時かも。
お兄さん、どう思います?
「…わかってないのはおまえだよ。俺の大切な弟の悪口言いやがって」
「………」
「と、言いたかったところだけど。…でも、これでわかった。伶士の大切にしている彼女は、選ばれた人間にあやかりたい『あっち側』の人間なんだって」