俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
…とは、思っていても。
何だか憎めないと思うのは。
それは、もう過去の出来事だから…だろうか。
「…でも、今の伶士には、なずながいるじゃん?…ね?なずなとはどうなってんの?」
「い、いや、それは…」
「…今回の件も、伶士となずなで学園に潜入して、魔獣を回収したって、綾小路さん?から聞いたよ」
「あ、そう…」
そこまで聞いてるのか…。
どうなってるって言われましても…。
いつの間にか、兄貴はいつものご機嫌な様子に戻っていた。
そのスマイルも戻ってきている。
「…伶士はすごいな?」
「えっ?」
唐突に話を振られて、戸惑ってしまう。
しかも、凄い兄貴に凄いと言われるなんて。
「な、何がすごいの…」
「俺には出来なかったこと、やっちゃうんだもん。魔獣の回収」
「あ、あれはなずなや警察さんの力で…」
「それに、VIPをも潰してしまうとは」
「つ、潰すだなんて…」
「伶士の幼稚園メンバーが、VIPと対立してたんでしょ?それもすごい。伶士の仲間、すごいよ」
「それは、俺が凄いんじゃなくて、凌憲や舞絵たち」
会話の間に「ははっ」と、また笑いを挟む。