俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…あの時、俺にもっと信頼出来る『仲間』が学園にいたら、よかったな…」
そう呟く兄貴は、やはり。
どこか寂しそうだった。
…兄貴は、完璧で友達も多い。
とは、思っていたけど。
兄貴も兄貴で、いろいろ本当に大変だったのでは…と、思わざるを得ない。
「…まあ、VIPがいなくなった今、今後の高等部に乞うご期待」
「…え?」
「伶士の仲間たちなら、やってくれるでしょ?未来ある学園作り?」
「でも…」
気がかりなことを思い出してしまった。
警察に連れていかれた薫たちや、VIP。
そんなめちゃくちゃになった学園に残された、凌憲たち。
どうなってしまうのか、という…。
しかし、兄貴は俺が何を心配かわかったのか。
「大丈夫」と、一言添える。
「…ドン底まで落ちて、何も無くなってしまったら。新しいモノを作って這い上がるしかないんだよ?」
「兄貴…」
「ピンチはチャンス。仲間を信じるしかないさ」
…気がかりは、まだ残ってる。
けど、兄貴の本音が聞けた。
それだけは、嬉しかった。
でも…自分が何も出来ない無力なら。
信じるしかないのか…。