俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

「いひひ」

「何で?何で?…教えて!」

「いひひひ」



もったいつけて意地悪そうに笑っているが…その中に、心の底からの笑みが漏れた。



「魔獣に…会いに来たんだ」




あのバケモノに会いに…田丸さんが?




…田丸さんは、三日前、俺達がやんややんやと北桜学園でモメている最中に。

あのもさ男の治癒力によって、生還。

目が醒めた田丸さんや、そのご家族のフォローを菩提さんと弓削先生が行ったという。

数時間後には会話が可能となり、話の聞き取りの中。

田丸さんが、一番気にしていたことが。



『あの動物…どうなったんですか?』



動物…?

…と、聞くまでもなく、魔獣のことだろう。

自分を傷付け、死の直前にまで至らした、バケモノ。



何で気になるのか。



菩提さんが、そう問うと。

田丸さんは、自分がやられる寸前の状況を話し始めたという。



田丸さんは、伊藤さんの時と同じく、VIPらの手によって、あの檻に入れられた。

物凄く大きく見たことないバケモノに震え上がったらしいが。

その時、魔獣は田丸さんから距離を取るように端に寄る。



ひょっとして、怯えてるのか…?


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