俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
『…あの子は僕に危害を加えながらも、助けようとしたんだと思います。…あの子はどうしてますか?傷付けられて、あの悲しい声を出してませんか?…高橋たちから助けること、出来ませんか?』
驚いた…。
自分がやられて怯えてる様子がなく、庇うなんて。
と、同時に。
血液の代わりとして流し込まれた魔力は…魔獣が人間を助けようと、死なせまいと咄嗟の判断だったなんて。
この、魔獣が人間を助けようとしたレアケースに、弓削先生は大興奮だったらしい。
そして、みるみるうちに劇的な回復を遂げた田丸さんは、昨日退院。
その際、凌憲ら生徒会の仲間も来ていて、事の顛末をすでに知っていた。
菩提さんも病院に顔を出したが、その時、田丸さんにとある事をお願いされる。
『あの子に会うことは出来ませんか?…お願いします!』
警察に押収されてしまったし無理だと何度か伝えるが。
それでも、田丸さんは懇願してくる。
田丸さんは…あの魔獣に『やられた』ではなく『助けられた』という感情を持っているのだ…。