俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
無下に出来ないと判断して、弓削先生や綾小路室長に相談した結果。
魔獣が帰還する直前に少しだけ、という条件で、魔獣との面会が許可される。
…そして、凌憲の付き添いで、田丸さんが魔獣のいる警察本部の地下へとやってきた。
そこには、警察側の綾小路室長や風祭さん、魔術師の弓削先生、菩提さん、もさ男、なずなも立ち会ったという。
魔界へ帰還直前で、弓削先生の作った魔法陣の上で待機する魔獣。
弓削先生の誘導で、魔獣の傍に歩み寄る田丸さん。
『少し大きくなってる…やっぱりやつれてたんだね』
そう言って、田丸さんは魔獣に恐る恐ると手を差し出す。
『助けてくれて、ありがとう…』
魔獣がピクッと動いて、周りは「あっ!」と、ビビったらしいが。
なんと、魔獣も。
顔を近付けて、歩み寄ったのだ。
そして、キリキリキリキリ…と、金属音のような鳴き声を発する。
それは決して、不穏な悲鳴ではない。
『声、聞いてみる?』と、弓削先生の計らいで、一般市民の田丸さんや凌憲にも魔獣の声が聞こえるような術を施した。