俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…宮内さん、どうしてもお母さんのようにレディクラに入って、意識が高く立派な女性になりたかったんだって。…でも、それが行き過ぎていたのもわかっていたみたいなんだ。でも、止められなかったって…」
「そうか…」
薫は、わかっていたのか…。
「いろいろ詳細は流石に聞けないし、それを反省する云々まではまだ頭が回ってないみたい。ただ…」
「…ただ?」
「…ただ、伶士とあんなカタチで別れたことだけは後悔していて。それだけはずっと心残りだったみたい。思い返せば、伶士といた時間が一番幸せだったって…」
「………」
だから…だから、冬休み中に俺のところに来て。
《…過去をやり直す必要がないなら、新しい『今から』を始めたい》
だけど、俺は。
それに応えることが出来なくて…。
今でもどうすればよかったのか、わからなくなる。
あの時の、薫の我を失った顔と泣き叫ぶ声が頭に過らせては。
「…伶士?」
「…ん、んっ?何?」
自分の無力さに項垂れるように、下を向いていたが。
呼び掛けられて、顔を上げると。