俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
漠然と眺めていたその視界に、ふととある人物の姿が入り込んできて、ビクッとなり、背筋がピンと張った。
6組の教室から、サッと姿を現していた。
な、なずなだ…!
…と、思ったら、こっちの方には目もくれず、あっという間に背中を見せて向こうの方に行ってしまった。
あ…。
気付かれなかった…。
それは、何とも複雑な気分。
俺、眼中に無いんですか…?
気付かれないなんて、なずなの中では俺、そんなに重要人物じゃない?
俺は…遠くからでも気付いたのに。
この差は何?…と、思うとガッカリさせられる。
「…なずぽよも、さっき凄かったね?」
御堂さんのその一言で、我に返った。
御堂さんも俺と同じ方向、なずなが向こうへ行く方向をじっと見ている。
し、しまった。
そうだ。
今の俺、御堂さんと一緒だったんだ。
こんな一緒にいるところバッチリ見られてみろ。
モテモテお坊っちゃま?
リンリンと付き合ってんの?
なんて、勘違いされかねない…!
ある意味、気付かれなくてよかったのか。