俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

人ひとり空いた距離まで近付いて、立ち止まる。

すると、俺の気配に気付いたのか、蓑島さんが顔を上げてこっちを見た。



「おぉー!タッチーだ。久しぶり」



俺に気付くなり、独自に付けたアダ名で俺を呼んだ。

タッチー…橘、だから。

この呼び方、この人と部の顧問である糸田先生しか呼ばない…。

しかし、半ば乱入である俺の登場に嫌な顔ひとつせず、蓑島さんは手を振って笑顔を振り撒いてくる。

笑うと爽やかだ。キラキラしてる。



「お、お、お疲れさまですっ。み、蓑島さん」

「バスケの試合カッコ良かったよー?相変わらず綺麗な顔してるねー。イケメン王子?」

「み、蓑島さんこそ」

「いやいや、俺もうおじさんだから。タッチーは若くてフレッシュでいいねー?」



蓑島さんは、サッカー部の先輩方と仲が良い。

その繋がりで、ちょっとした知り合いとなってしまった。

今では、こんな感じで顔を合わせたら挨拶をして一言二言交わす程度。


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