俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
そして、しばらく時間が経った後。
「…何か言ったか?」
「………」
やはり。
覚えていないのか、見当がつかないのか。
しかし、そこは引き下がらない。許さない。
「俺、あの時確かに言ったんだけど…『好きだ』って」
「へ…」
「おまえのことが…『好きだ』って」
「は…」
引き続き、記憶を掘り起こしていたようだが。
「あ…あぁっ!」
どうやら、思い出したらしい。
「あ、あ、あ…ああぁぁっ!」
わかりやすい。
みるみるうちにソワソワとし出し、挙動不審になっていく。
まあ、思い出してくれて良かった。
「ま、待て!それは…!」
あたふたしながらも、何か反論があるらしいが。
待て?…そんなの聞いてやらない。
「あの時の流れでつい言っちゃっただけ…だと思うか?」
「や、あのっ、あ…」
「…違う。前からずっと想ってた」
息を飲み込んで、拳に力が入る。
トドメの一言を伝えるために。
「なずなのことが、好きだ」