俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「は…」
何かを言いかけたようだが。
ヤツは固まった。
目を見開いて、口を大きく開けたまま。
とんでもない顔のまま。
…やはり、あの時の一言は、一時の感情に身を任せた発言だと思っていたのか?
まあ、状況が状況だったから、それは仕方ない。
だから、ちゃんとこうして言いたかった。
夢か幻になってしまわないように。
…欲を言えば、こんな人通りの多い廊下で苦し紛れにではなく、もう少し静かで落ち着いた状況で言いたかったんだけど。
そして。
カミングアウトされた側は。
「………」
やはり、固まり続けている…。
そんなにサプライズだったろうか。
しかし、そこは。
手を緩めることはなく、更に畳み掛ける。
「…なずな。おまえはどうなの」
「は…」
「おまえはどう思ってんの。俺のこと」
「え、え、ちょっと…」
「何」
「ちょっと、待って…」
「…は?」
「ちょっと、ちょっとちょっと待って待って待って!」
は?