俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
…実は、その卒アルの写真。
俺にとっては、まさに。
紛糾物語の始まりとなるのだった。
「…ほら」
差し出されたスマホの画面を、ひょいと覗き込む。
(え…)
運命の歯車が、ガタンと音を立てる。
心臓の鼓動と、被るように。
「…な?『音宮』だろ?」
「………」
背景が青の証明写真。
髪が今より明るめのストレートだが、化粧は今ほど濃くない。
そんな約一年前の写真は、紛れもなくなずなだ。
だが、問題は。
その写真の下に、記された名前。
それを目にして、また頭が真っ白になってしまう。
問題はひとつではない。
【音宮リラなずな】
こんなこと、あるんだろうか。
(ま、マジか…)
頭の奥底に眠っていた記憶が、呼び覚まされる。
それは、記憶の片隅にいた少女。
《Dad!…loveyou! loveyou!》
《Hi! Reishi! l'm Lira!》
「音宮…リラ…?」